【カニューレから抜け出せ!】
~誤嚥を防ぐ防御機構の廃用とは?~
さて、本日は、臨床でのことを語ってみます。
最近、
ギランバレーの方を担当しています。
1ヶ月前は、
ベッド上寝たきり、
身体は拘縮し、肘を曲げるのも、手指を曲げるのも難しく、
食事はベッド上で介助。
そして、
頭はクリアなので、
動かしたくても動かせないもどかしさ、
ちょっとしたことが気になる、
そんな状況なので、
他人に何かされることは
怖い、
不安。
って感じでした。
そら心理的なことを思うと、
自分が逆の立場ならそーなってしまいます。
しかし、
現場では、
文句が多い、
と言われ、
不穏なので、精神薬で鎮静化。
なかなか可哀想な状況でした。
しゃべりたいけど、
ワンウェイバルブでの装着時間は約3分。
しかも口パクのような嗄声しか出せない。
そんな感じでした。
が、
1ヶ月で、
リクライニング車椅子で1時間ほど離床でき、
食事は、食堂で、
自助具使用で自己摂取。
また、複管カフ付きカニューレは、カフ完全脱気での食事です。
そして、
ワンウェイバルブは6時間連続可能になり、
発声としても、
かなりはっきりとした声になりました。
ベッド上で動くことが少しずつ出来ることで、
訴えも少なくなり、
不穏とされることもなくなりました。
さて、ここまでの経過を1ヶ月で辿るのは、神経伝達が改善したからか?
というとそうではありません。
ワンウェイバルブを付けての練習を担当する前に2ヶ月やっても伸びなかったですし、
状態もほぼ変わってなかったからです。
これは、
嚥下機能を知ってることに加えて、
カニューレの構造を知ること、
声帯の機能を知ること、
さらに、
発声のメカニズムと
発声トレーニングを知っている
ことから、なされてます。
もちろん、機能を向上するためには、
「普段から使うこと」
が求められます。
なので、
自分で出来る運動提供、
つまり、
運動療法が一つキーポイントになります。
嚥下分野でも、
機能向上をしていく際に運動療法は効果的です。
ここは、先日開催したセミナーでも、
各期における運動療法と、
推奨されている運動療法、
PT視点での運動療法、
とを、お伝えしました。
と、
ちょっと脱線してしまいましたが、
つまりは、
「廃用の要素が強い」
と言うことです。
発声トレーニングにおいても、
「あ」
の発声の仕方と、
「い」
の発声の仕方とでは、
咽頭部での使い方が全く違うのです。
発声の仕方で、
どこの咽頭の機能が使えているか?
締めた発声を促したほうが効果的なのか?
それとも開放された発声の仕方がいいのか?
なども含めて診ていきつつ、
必要な要素を提供していかないといけません。
ただしゃべってたらよくなる
なんてのは、愚の骨頂です。
変なクセがつくとなかなか取れなかったりします。
気切カニューレを抜管していくためにも必要な要素でもあるので、
発声のメカニズムや運動は、知ってたほうが、
良くできる患者さんが増えますよ!
ちなみに、
発声がしっかりとすると、
廃用に陥った声帯が働き、
誤嚥の防御機構として機能してくるようになります。
ですので、
カフ完全脱気も出来た理由の一つでもあります。
また、
思ったことを言えるようになる
ってことは、
言葉を頭にためなくて済むので、
ストレスはかなり軽減しますし、
「病気」
の要素を取り除く一つのアプローチです。
これは、
難しい話なので、
会ったときにでも質問ください(笑)
P.S.
発声のメカニズムを基礎からアプローチまで知りたいなら、
6月8日のセミナーに参加してみてくださいね!
P.S.2
摂食嚥下領域の画像の見方と神経生理学的アプローチも半数の席が埋まりました。
2回目の開催はたぶん無いっぽいので、受講出来る人はついてます(笑)
P.S.3
そろそろ後期のコース募集も始まる予定です。
先日報告してくれた方は、
去年担当した経鼻経管栄養の方の食事摂取達成度が90%
今年は今のところ100%
だそうです。
3年目でも難しい症例は、あなたにしか見れないと、先輩からもお願いされるようになってるそうです。
P.S.4
来年度は、オリンピックの関係で、関東開催は1回のみとなりそうです。