「誤嚥性肺炎を減少させたい」
あなたは、病院や施設で、
看護や介護士が常日頃、患者さん・利用者さんに対して口腔ケアをしていることを見たことがありますか?
あったとしても、一日1度あればいいほうではないでしょうか?
3食、食後に口腔ケアをしっかりと行っている病院少ないのではないのでしょうか?
加えて、口腔や歯をケアする歯科衛生士が病院内で勤務している病院も少ないのではないでしょうか?
実際、どれだけの病院や施設が、口腔ケアを徹底して行っているかは、正直わかりません。
しかし、現在、病院・施設で誤嚥性肺炎が多くなっているのは事実です。
実は、この口腔ケアを徹底して行うだけで、誤嚥性肺炎の発生率は減少させていくことが可能です。
目次
あなたは知っていますか?口腔内の雑菌の数を‼
ヒトには、700種におよぶ細菌などの微生物が住みついています。
なかでも、口腔内には300種類以上の細菌が存在しています。
ちなみに、
よく磨く人の口腔内細菌数 1000~2000億個
あまり磨かない人の口腔内細菌数 4000~6000億個
ほとんど磨かない人の口腔内細菌数 1兆個(!!!)
ともいわれています。
これは、汚い話、便器よりも、肛門よりも細菌数が多いです。
そんな口腔内環境で、呼吸をしている状態です。
口は内臓への入り口です。
そんな細菌が体の中に入っていくのです。
なので、肺だけでなく、胃や腸にも影響を及ぼし、さらには、血管内に細菌が侵入していくことで、心疾患や脳血管障害にもなりやすいといわれています。
そのような口の中...放置していていいのでしょうか?
口腔ケアをすることで、発熱や肺炎の発症率が激減する
ある文献では、
「肺炎が原因の死亡例では、専門的口腔ケアを行った群に比較して、そうでない群の死亡例は約2倍だった」
という結果が出ているそうです。
これは、なぜか?
それは、高齢者では、不顕性誤嚥が多いからです。
不顕性誤嚥とは、簡単に言うと、むせない誤嚥です。
そして、誤嚥性肺炎の主な原因は、細菌が多々いる環境で、唾液をしっかりと処理できず、気管に入ってしまうことで発症することがほとんどです。
その為、口腔ケアをすることで、肺炎の発症を抑えることができるのです。
他にも、口腔ケアのメリットはあります。
継続した口腔ケアは、嚥下までの時間の短縮が可能となり、誤嚥のリスクが減ります。
また、自浄作用のある、唾液分泌が増えます。
それにより、口腔内の細菌が抑えられ、さらに肺炎のリスクが軽減します。
加えて、舌や口腔機能の改善がみられやすく、結果、食事を何らかの形で摂取できるようになるため、低栄養の改善につながり、免疫機能が向上しやすくなります。
一見面倒な口腔ケアは、メリットしかないのがお分かりいただけたでしょうか?
そして、この口腔ケアは、リハビリの一つでもあります。
あなたが、一日歯磨きやうがいをせず、過ごすとどのような感情を持ちますか?
きっとかなり気持ち悪さを覚えると思います。
口腔ケアは、患者さんのQOLの向上にもつながっているのです。
そして、リハビリ職である、私たちセラピストは、一人に関わる時間を多くもてることから、患者さんに指導していける部分でもあり、また、看護や介護士よりも率先して行え、且つ指導できることでもあります。
やったことがないから怖い‼という人も中にはいるでしょう。
しかし、意外とやってみると簡単なものです。